お薬の名前と「選定療養」「対象外」を並べて検索してこのページにたどり着いた方へ。最初に、結論だけ先にお伝えします。

先に結論 その薬が「対象医薬品リスト」に載っていても、追加の料金(特別の料金)がかからない場合が4つあります。逆に、リストに載っていない薬にはそもそもかかりません。
そして、自分の薬がリストに載っているかどうかは、厚生労働省が公開しているExcelを開いて薬の名前で検索すれば、自分で確かめられます。このページでは、その4つの場合と、Excelの開き方と、窓口での聞き方をまとめました。

ここでいう「選定療養」は、2024年10月に始まった長期収載品(ちょうきしゅうさいひん=後発医薬品が発売されている先発医薬品)の選定療養のことです。血圧の薬、胃の薬、アレルギーの薬、コレステロールの薬など、長く飲んでいる薬ほど関係してきます。

よくある誤解: 「リストに載っている=必ず追加料金がかかる」ではありません

薬の名前で検索すると「この薬は選定療養の対象です」と書かれたページが並びます。これは半分だけ正しく、そこで止まると判断を誤ります。

厚生労働省は、対象医薬品リストを公開しているページに、そのリストの使い方をこう書き添えています。

なお、処方等又は調剤の場面における選定療養の適用にあたっては、医療上必要があると認められる場合や、後発医薬品の在庫状況等を踏まえ、後発医薬品を提供することが困難な場合に該当するかどうかを考慮して、判断する必要があります。

厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」対象医薬品リストの欄より

つまりリストは「候補の一覧」であって、「請求される人の一覧」ではありません。実際にかかるかどうかは、処方する医師と、薬を渡す薬局の判断が入ってから決まります。

特別の料金がかからない4つの場合

かからない場合どういうことか誰が決めるか
① 後発医薬品(ジェネリック)を選んだときこの仕組みは「後発品があるのに先発品を希望した場合」にかかるもの。後発品にすれば発生しません。一般名で処方されていて薬局で後発品を選ぶ場合も同じです。患者本人
② 医療上の必要性があると医師が判断したとき先発品と後発品で承認された効能・効果に差がある/後発品で副作用や相互作用、効きめの差があった/学会のガイドラインで先発品が推奨されている/剤形(錠剤・貼り薬などの形)の違いで治療に支障がある、といった場合。処方箋にその旨が記載されます。医師
③ 後発医薬品を提供することが困難なとき薬局や医療機関に後発品の在庫がない、供給が止まっているなど。この判断は、その薬局・医療機関が行います。薬局・医療機関
④ そもそも対象医薬品リストに載っていないとき後発品が発売されて日が浅い薬や、後発品への切り替えがまだ進んでいない薬などは、対象になっていません。制度(告示・事務連絡)

②と③は、患者側が「そうしてください」と要求して通るものではなく、医師・薬局が医学的・実務的に判断するものです。ただし、後発品で以前つらい思いをした、飲みにくかった、という経験は、②の判断材料になります。伝えないと相手には分かりません。このページの後半に、そのまま使える言い方を置いています。

自分の薬が対象かどうかは、公開データで自分で確かめられます

探すファイルの名前は決まっています。「長期収載品の処方等又は調剤に係る選定療養の対象医薬品リスト」です。厚生労働省のサイトで、PDFとExcelの両方が無料で公開されています。

  1. 厚生労働省の「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」のページを開く
  2. ページ下のほうの「対象医薬品リストについて」の表で、いちばん新しい日付のもののExcel(またはPDF)を開く
  3. 「品名」の列を、お手元の薬の名前で検索する(パソコンならCtrl+F、スマホなら検索機能)。商品名で見つからないときは「成分名」の列で探すと見つかることがあります
  4. 載っていれば、その行の「薬価」と「後発品最高価格」の差が、追加料金の計算のもとになる金額です

リストは改定のたびに差し替わります。医療機関や薬局のサイトに転載された古い一覧ではなく、上の厚生労働省のページから最新のものを開いてください。「載っていなかった」ことも、そのまま答えになります。

かかる場合、いくらになるのか

2026年(令和8年)6月から、先発医薬品と後発医薬品の価格差の2分の1にあたる額が「特別の料金」になりました。それ以前は価格差の4分の1でした。厚生労働省が示している例は次のとおりです。

先発医薬品 1錠100円
後発医薬品 1錠60円
価格差40円
特別の料金(1錠あたり)20円(+消費税)

この20円は、いつもの1〜3割の自己負担とは別に支払うものです。あわせて、次の点も公式に示されています。

  • 特別の料金は課税対象なので、消費税分が加わります
  • 端数処理の関係で、ちょうど2分の1にならないことがあります
  • 後発品が複数ある場合は、いちばん薬価の高い後発品との差で計算します
  • 薬剤料以外の費用(診察や調剤の費用)はこれまでと変わりません

実際の金額は日数と量で変わります。先発と後発の薬代そのものの差を見比べたい方は、ジェネリックに変えると?先発・後発 薬代かんたん比較もあわせてどうぞ。

窓口での聞き方(そのまま使えます)

いちばん確実なのは、思っていることをそのまま言葉にすることです。専門用語を使う必要はありません。

  1. 薬局の窓口で ──「この薬は、選定療養の追加のお支払いがかかるお薬ですか?」
  2. 金額を知りたいとき ──「かかる場合、今回の日数だといくらになりますか? 後発品にした場合との差も教えてください」
  3. 過去に合わなかったとき(診察室で) ──「以前ジェネリックにしたとき、○○(かゆみ、胃の不快感、効きが弱い感じ など)がありました。今の薬を続けたいのですが、いかがでしょうか」
  4. 後発品に替えてもよいと思ったとき ──「ジェネリックがあるならそちらでお願いします。」

3は「安くしてほしい」というお願いではなく、医師が②の判断をするために必要な情報を渡す行為です。次の診察の前に、いつ・どの薬で・どうだったかをメモしておくと伝えやすくなります。

2027年3月から始まる「もう一つの負担」は、選定療養ではありません

市販薬と似た成分の医療用医薬品(いわゆるOTC類似薬)について、薬代の一部を保険の対象から外す仕組みが、2026年6月に成立した法律で決まりました。これは選定療養ではなく、別に新しく作られた4つ目の類型です。健康保険法63条2項6号に「一部保険外療養(いちぶほけんがいりょうよう)」として定義されており、評価療養・患者申出療養・選定療養と並列に置かれています。

長期収載品の選定療養一部保険外療養(OTC類似薬)
患者が払う額の呼び名特別の料金別途の負担
いつから2024年10月(2026年6月に計算が2分の1へ)2027年(令和9年)3月施行の予定
制度上の位置づけ選定療養選定療養ではない別の類型
中身が決まっているか決まっている諮問の段階。告示・省令はまだ出ていない

2026年9月9日に厚生労働大臣から中央社会保険医療協議会へ諮問された資料では、別途の負担の額を「薬剤費の4分の1」とする案が示されています。ただし、こども・がん・難病・低所得の方などを対象外とする範囲は、まだ決まっていません(2026年秋頃を目途に結論を得る予定とされています)。消費税の扱いも「政府内で検討中」と書かれたままです。施行日も、法律上は政令で定めることになっています。

いま出回っている解説で「OTC類似薬も選定療養になる」と書かれているものがありますが、条文上は別の類型です。今後この制度について調べるときは、「選定療養」ではなく「一部保険外療養」で探すと、正しい資料にたどり着けます。

もう一点、長く薬を飲んでいる方に関係するのが計算方法の変更です。同じ2027年3月に合わせて、長期収載品の特別の料金も「先発薬と後発薬の差額2分の1×投薬全量」で計算する形に変わることが示されています(現在は点数に換算して計算しています)。割合そのものは変わりませんが、端数を丸める位置が変わるため、同じ処方でも金額が今と数円ずれることがあります。窓口で金額が変わっていたら、まずこれを思い出してください。

まとめ: 今日できる3ステップ

  1. 厚生労働省の対象医薬品リスト(Excel)を開いて、手元の薬の名前を検索する。載っていなければ、それで終わりです
  2. 載っていたら、次に薬局へ行ったとき「この薬は追加のお支払いがかかりますか」と一言だけ聞く
  3. 過去に後発品で合わなかったことがあるなら、次の診察でその一件を医師に伝える。判断するのは医師ですが、材料を渡せるのは本人だけです

薬局によって窓口の負担が変わる仕組み(調剤基本料)については薬局の調剤基本料を都道府県から確認するを、医療費の仕組みをひととおり確かめたい方はヘルスケア検定をご覧ください。

ご利用にあたって(免責事項)

このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省が公開しているデータを調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。だから効果や安全性は扱わず、公開されている数字だけを扱っています。制度や点数は改定されることがあります。最新の情報は厚生労働省などの公式資料でご確認のうえ、個別のご相談はかかりつけ医・薬剤師にお願いします。

  • 特定の医薬品の使用・変更をすすめるものではありません。薬を変える・変えないの判断は、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
  • 本ページで紹介する制度上の区分は、医薬品や薬局の優劣を示すものではありません。
  • 対象医薬品リストへの掲載は、実際に特別の料金がかかることを意味しません。適用は、医療上の必要性や後発医薬品の在庫状況を踏まえて個別に判断されます。
  • 2027年3月からの一部保険外療養は、本ページ作成時点で告示・省令が公布されておらず、内容が変わる可能性があります。
  • 制度・薬価は改定により変わります。最新情報は厚生労働省のサイトでご確認ください。

このページの根拠

  • 厚生労働省「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」(特別の料金の考え方・計算例・対象医薬品リスト・凡例)
  • 中央社会保険医療協議会 総会(第656回・2026年9月9日)諮問書および資料「一部保険外療養の創設に伴う療養担当規則等の所要の見直しについて」
  • 中央社会保険医療協議会 総会(第655回・2026年8月26日)資料「OTC類似薬の保険給付の見直しについて」
  • 健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)第63条第2項第6号・第86条第3項

最終更新日: 2026年9月10日