がんの痛みを和らげる医療用麻薬、自宅での点滴(輸液)、抗がん剤——これらは在宅療養が進む中で、自宅での使用が増えています。しかし、すべての薬局がこうした専門的な薬を扱えるわけではありません。
このページでは、高度な在宅医療に対応できる薬局の特徴、制度上の目印、そして探し方をまとめました。
専門的な在宅対応が必要なケースとは
次のような状況では、専門的な設備・資格・体制を持つ薬局が必要になります。
- 医療用麻薬(モルヒネ・フェンタニルなど)…がんの疼痛管理や緩和ケアで使われます。麻薬取扱者の免許と厳格な管理体制が必要です。
- 自宅での点滴・輸液…高カロリー輸液(IVH)や抗生剤の点滴を自宅で行う場合、無菌状態で薬を調製する設備(クリーンベンチ等)が必要です。
- 抗がん剤の在宅調製…一部の経口抗がん剤は薬局での調製・管理が必要なケースがあります。
- 小児の特殊な薬(粉末・懸濁液など)…市販されていない用量・剤形を薬局で調製(製剤)する場合があります。
制度上の目印:在宅薬学総合体制加算
専門的な在宅対応を行う薬局を見分ける目安として、「在宅薬学総合体制加算2」の届出があります。
| 加算の種類 | 主な要件(概要) | 読み取れること |
|---|---|---|
| 在宅薬学総合体制加算1 | 年48回以上の訪問実績・時間外対応・研修修了等 | 在宅訪問の体制を整えている薬局 |
| 在宅薬学総合体制加算2 | 加算1の要件+個人宅への訪問実績割合・医療用麻薬の指導実績または無菌調製・小児対応のいずれか・薬剤師3名以上など | 医療用麻薬・点滴・高度な在宅に対応しうる薬局 |
2026年度改定では、加算2の点数が個人宅への訪問に対し100点(施設は50点)に引き上げられ、個人宅への訪問実績がより重視される要件になりました。
無菌調製室(クリーンルーム)とは
点滴や注射薬を無菌状態で調製するには、専用の設備(クリーンベンチ・安全キャビネット等)が必要です。これを「無菌調製室」または「クリーンルーム」と呼びます。
こうした設備を持つ薬局は全国でも限られており、地方厚生局への届出(無菌製剤処理加算)から確認することができます。
探し方
方法1: 主治医・訪問看護師・ケアマネジャーに紹介を依頼する
専門的な在宅医療を行う場合、医師や在宅ケアチームが「連携できる薬局」を知っていることが多いです。まずはかかりつけ医に相談するのが最短です。
方法2: 地方厚生局の届出名簿で確認する
地方厚生局のウェブサイトで「在宅薬学総合体制加算2」「無菌製剤処理加算」「麻薬小売業者免許」などの届出状況を確認できます。名簿で候補を絞り込み、電話で直接対応可否を確認してください。
方法3: 医療情報ネット(ナビイ)を使う
厚生労働省の医療情報ネットでは「在宅医療への対応」「無菌調製への対応」などの条件で薬局を絞り込めます。
薬局への問い合わせ文例
- 「在宅で医療用麻薬(がんの痛み止め)を使う予定ですが、管理・調剤をお願いできますか?」
- 「自宅での点滴(輸液)の調製に対応していますか?無菌調製の設備はありますか?」
- 「在宅薬学総合体制加算2の届出はありますか?」
- 「緊急の対応や夜間の相談にも対応してもらえますか?」
他の困りごとから探す方は困りごと別ナビTOPへ。在宅医療全般の仕組みについては「通院できないとき・自宅で薬を受け取りたいとき」もご覧ください。
このページは、患者と、患者の家族の立場で、地方厚生局が公開しているデータを調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。だから効果や安全性は扱わず、公開されている数字だけを扱っています。制度や点数は改定されることがあります。最新の情報は厚生労働省などの公式資料でご確認のうえ、個別のご相談はかかりつけ医・薬剤師にお願いします。
本記事は、厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」(令和8年3月5日版)をもとに作成しています。最新の届出状況は各地方厚生局のサイトでご確認ください。
最終更新日: 2026年6月6日