親の薬が増えたとき、気にしたいのは薬の数です。75歳以上では約4割が、同じ薬局で月に5種類以上の薬を受け取っていて、6種類以上になると薬による困りごとが増えるというデータが国の指針に載っています(厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」2018年5月、2026年10月27日確認)。

薬の影響は、ふらつき・物忘れ・食欲の低下・便秘のように、年のせいに見える形で出ることがあります。指針は、本人との会話だけでは気づきにくいので、家族から暮らしの様子を聞くのが望ましいとしています。

今日できること(1分)

お薬手帳を開いて、いちばん新しい日付に載っている薬の数と、増えた日を1行メモする。

窓口でそのまま言える一言

『次の受診までに、家族が様子を見ておくことはありますか。』

薬が増えた日の診察の終わりに、医師か、薬を受け取る薬局の薬剤師に言います。

薬の数は、年齢が上がるほど増える

年齢月に受け取る薬が1〜2種類7種類以上
65〜74歳約44%約14%
75歳以上約34%約25%

同じ保険薬局で調剤された薬の種類数(月あたり)。平成28年社会医療診療行為別統計をもとにした図を、令和7年度の厚生労働省委託事業の資料(2026年3月31日確定版)が示したもの。75歳以上で5種類以上は約4割(総論編)。

見ておく変化は、1つか2つに絞る

指針の表は、薬が原因で起こりうる変化と、関わりのある薬の種類を並べています。表にある薬が親に出ているかどうかは、お薬手帳や薬の袋の説明で見当がつきます。ただし、原因かどうかを決めるのは医師と薬剤師です。

家で見える変化関わりのある薬の種類(表の抜粋)
ふらつき・転倒降圧薬、睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬、てんかんの薬、抗ヒスタミン薬など
物忘れ(記憶障害)降圧薬、睡眠薬・抗不安薬、抗うつ薬、てんかんの薬、抗ヒスタミン薬など
食欲の低下痛み止め(NSAID)、アスピリン、下剤、抗不安薬、抗うつ薬の一部など
便秘睡眠薬・抗不安薬、抗うつ薬、過活動膀胱の薬など

厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」表1の抜粋(2018年5月)。単独の薬でみられる変化の表で、薬の組み合わせによる影響は別表にあります。

薬が多いことと、困りごとは別の話

指針の用語では、ポリファーマシー(薬の数が多いことに関連して、副作用や飲み間違い、飲み忘れなどの困りごとにつながっている状態)は、数が多いだけを指しません。必要な薬は、数が多くても続けるものです。

薬局に伝えるときは、市販薬やサプリメントも含めるのがよいとされています。同じ資料は、市販薬や健康食品の使用状況を患者や家族、介護職員にも把握してもらうよう書いています。飲み込みにくさ、視力の低下、ひとり暮らしといった暮らしの事情も、薬を飲み続けられるかに関わるので、家族から伝えてよい内容です。

自己判断でやめない、強い症状は待たない

家族の判断で薬をやめたり減らしたりすると、病気の悪化や、別の症状につながることがあります。資料は、自己判断での中止が飲み方の乱れの要因になると指摘しています。

強い症状が急に出たときは、次の受診を待たず、処方した医療機関か薬局に連絡するという考え方が一般的です。「ふらつきや食欲が変わったら、次を待たずに連絡してもいいですか」と、受診の日に1つ聞いておけば、迷う時間が減ります。

関連ページ

この話をnoteで読む薬が増えた母。次の受診まで、家族は何を見ておけばいいですか? 第290問

このページの出どころ

  • 厚生労働省「高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)」(2018年5月)。6種類以上で薬物有害事象が増える、75歳以上の約4割が5種類以上、表1、家族から生活状況を聞くことが望ましい、の各点
    https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/kourei-tekisei_web.pdf(2026年10月27日確認)
  • 厚生労働省医薬局 令和7年度委託事業 調査検討会「ポリファーマシー対策の普及啓発資材(総論編の概要)」(2026年3月31日確定版)。年齢別の薬の種類数、市販薬・健康食品の把握、自己判断の中止
    https://www.mhlw.go.jp/content/11125000/001714419.pdf(2026年10月27日確認)

このページの作成日:2026年10月27日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)

ご利用にあたって(免責事項)

このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。