医療費の総額が同じ100万円・同じ20日の入院でも、70歳未満で標準報酬月額28万〜50万円の人の自己負担の上限は、ひと月に収まれば92,940円、月の途中で半分ずつに分かれると175,880円です(厚生労働省・協会けんぽの公表資料の令和8年8月〜令和9年7月の式で計算、2026年10月14日確認)。
上限は月の1日から末日までで区切って1か月ずつ当てはめるため、入院の日数ではなく、月の境目をまたぐかどうかと、各月にいくら医療費がかかったかで合計が変わります。
入院の予定日と退院の見込み日をカレンダーに書き、その間に月末と1日が入っているかだけを見る。
『この入院は、月をまたぐと上限の計算が2回になりますか。』
入院の説明を受けるときに病院の入院窓口で、または加入している健康保険(保険証に発行元として書いてあるところ)の電話窓口で。
同じ入院を月の初めと月末で比べると
| 入院の日程(例) | 月ごとの医療費(10割) | 月ごとの自己負担 | 合計の自己負担 |
|---|---|---|---|
| 10月1日〜10月20日(月内に収まる) | 10月:100万円 | 10月:85,800円+(100万円−286,000円)×1%=92,940円 | 92,940円 |
| 10月22日〜11月10日(半分ずつ) | 10月:50万円/11月:50万円 | 各月:85,800円+(50万円−286,000円)×1%=87,940円 | 175,880円 |
| 10月15日〜11月3日(手術が10月) | 10月:80万円/11月:20万円 | 10月:85,800円+(80万円−286,000円)×1%=90,940円/11月:3割の60,000円が上限に届かずそのまま | 150,940円 |
70歳未満・3割負担・区分ウ(標準報酬月額28万〜50万円、年収約370万〜約770万円)の令和8年8月〜令和9年7月診療分の式で計算。食事代・差額ベッド代は含まない。出典:厚生労働省「高額療養費制度の概要」資料、協会けんぽ「高額療養費」(2026年10月14日確認)。
3行目のように、医療費が片方の月に寄ると、軽い方の月は3割の額が上限より小さくなり、払い戻しの対象になりません。月をまたいでも合計がちょうど2倍になるとは限らず、各月の医療費の配分で決まります。
何が1つの単位として数えられるか
ここで使う高額療養費(窓口で払った額のうち、ひと月の上限を超えた分が健康保険から戻る制度)は、次の区切りで1か月分を計算します。
| 区切り | 扱い |
|---|---|
| 期間 | 月の初めから終わりまで。病院が健康保険へ出す請求書(レセプト)も暦月単位で作られる |
| 病院 | 医療機関ごと。同じ病院でも医科の入院・医科の外来・歯科の入院・歯科の外来は別に計算 |
| 院外の薬局 | 処方せんを出した医療機関の分に合わせて計算 |
| 別の病院・家族の分を合わせるとき | 70歳未満は1件あたり21,000円以上のものだけ合算できる。70歳以上は額にかかわらず合算できる |
| 対象にならないもの | 入院中の食事代・差額ベッド代など保険外の分 |
出典:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」、協会けんぽ「高額療養費」(2026年10月14日確認)。
月が分かれると、回数の数え方にも入る
直近12か月(その月を含む)に上限に達した月が3か月以上あると、4か月目からは上限が下がります。区分ウなら、4か月目以降は44,400円です。月をまたいだ入院で両方の月が上限に達すれば、この回数では2か月分として数えられます。
この回数は、同じ健康保険・同じ本人で続いている場合に通算されます。国民健康保険から協会けんぽに移ったときや、退職して家族の扶養に入ったときは通算されません。
令和8年8月からは、年単位の上限(区分ウは年53万円)も設けられました。年単位の分の申請は令和9年8月からとされています。
日程を相談するときの順番
入院や手術の日は、体の状態と病院の都合で決まるのが先です。そのうえで日程に幅があるときは、月内に収まるかどうかで負担の合計が変わることを、相談の材料の1つにできます。
入院前に限度額の認定(マイナ保険証の提示など)を済ませておくと、窓口での支払いは月ごとの上限までになります。月をまたげば、その支払いも月ごとに2回になります。
関連ページ
この話をnoteで読む同じ入院が続いているのに、請求が2回に分かれて来ました。月が変わると別になるのですか? 第99問このページの出どころ
- 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(平成30年8月診療分からの版。ひと月=月の初めから終わり、レセプトは暦月単位、医科・歯科・入院・外来の扱い)
https://www.mhlw.go.jp/content/000333280.pdf(2026年10月14日確認) - 厚生労働省「高額療養費制度の概要」資料(令和8年8月〜令和9年7月の上限額の式、多数回該当、年単位の上限)
https://www.mhlw.go.jp/content/001729632.pdf(2026年10月14日確認) - 全国健康保険協会(協会けんぽ)「高額療養費」(区分ごとの式、多数回該当の通算、合算の条件、対象外の費用)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/high_cost_medical_expenses/002/(2026年10月14日確認)
このページの作成日:2026年10月14日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)
このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。
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