入院の窓口払いは、最初から上限で止められます。医療費が100万円(3割で窓口30万円)でも、年収約370万〜770万円の区分(70歳未満)なら、ひと月の上限は92,940円です(85,800円+(1,000,000円−286,000円)×1%。厚生労働省「高額療養費制度の概要」の令和8年8月〜令和9年7月の区分、2026年10月10日確認)。
止めるには入院前の準備が要ります。協会けんぽの場合、マイナ保険証を使い、オンライン資格確認のある医療機関なら申請は不要です。そうでなければ限度額適用認定証(窓口の支払いを上限までにする証明書)を、医療機関に払う前に申請します。申請書を受け付けた月より前の月の分は、交付されません(協会けんぽ、2026年10月10日確認)。
入院する人の保険証か資格確認書で、発行元の名前(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療のどれか)をメモする。
『入院の予定があります。限度額適用認定証は手続きが要りますか。マイナ保険証だけで足りますか』
入院が決まった日に、病院の窓口か、加入している健康保険(発行元)の窓口に電話で。
年収の区分で変わる、ひと月の上限(70歳未満)
ひと月の医療費の自己負担に上限を決め、超えた分を戻す仕組みが高額療養費(ひと月の自己負担の上限を超えた分が戻る制度)です。上限は年収の区分で決まります。入院では、窓口の支払い自体を上限までにとどめる扱い(現物給付)があります。
| 年収の目安 | ひと月の上限 | 4か月目以降 |
|---|---|---|
| 約1,160万円〜 | 270,300円+(医療費−901,000円)×1% | 140,100円 |
| 約770万〜約1,160万円 | 179,100円+(医療費−597,000円)×1% | 93,000円 |
| 約370万〜約770万円 | 85,800円+(医療費−286,000円)×1% | 44,400円 |
| 〜約370万円 | 61,500円 | 44,400円(改定前の額。多数回該当は据え置きと厚労省が説明) |
| 住民税非課税 | 36,900円 | 24,600円 |
厚生労働省「高額療養費制度の概要」(令和8年8月〜令和9年7月の区分)から作成。2026年10月10日確認。「医療費」は保険がきく診療の総額(10割)。令和9年8月からは区分が細かくなる予定です。義務教育就学前は2割負担です。
この上限に入らないものもあります。差額ベッド代などの保険外の費用と、入院中の食事代は対象外です(協会けんぽ。同ページには公開日の記載がなく、2026年10月10日に確認)。
マイナ保険証で足りる人と、認定証が要る人
協会けんぽの案内では、マイナ保険証を出せば、オンライン資格確認のある医療機関でひと月の窓口負担が上限までになります。限度額の情報が医療機関に届くため、認定証の申請は要りません。表は、どちらが要るかを条件別に並べたものです。
| こんなとき | 認定証の申請 | 窓口に出すもの |
|---|---|---|
| マイナ保険証を使い、オンライン資格確認のある医療機関 | 要らない | マイナ保険証 |
| その医療機関がオンライン資格確認をしていない/協会けんぽにマイナンバーを登録していない | 要る | 資格確認書と認定証 |
| 住民税非課税などの低所得の区分(協会けんぽの案内) | マイナ保険証でも要る(「限度額適用・標準負担額減額認定申請書」) | 認定証 |
| 70歳以上で「一般」または「現役並みⅢ」 | 要らない | 資格確認書と高齢受給者証 |
| 70歳以上で「現役並みⅠ・Ⅱ」 | 要る | 資格確認書・高齢受給者証・認定証の3点 |
協会けんぽ「限度額適用認定証」「医療費が高額になりそうなとき(よくあるご質問)」から作成。2026年10月10日確認。70歳以上の区分の表は、協会けんぽの加入者の場合です。
認定証は、入院と外来が別で、医療機関ごと・薬局ごとに出します。月の途中で出したときは、同じ月のうちなら病院で精算できることがあります。翌月に出した場合、前の月までの分には遡って使えず、あとで高額療養費の申請書を出します。
加入先ごとの入手先と、出す時期
| 加入している健康保険 | どこへ申請するか | 時期と有効期間 |
|---|---|---|
| 協会けんぽ | 「限度額適用認定申請書」をインターネットか郵送で。問い合わせ・届出先は都道府県の支部 | 医療機関に払う前。受付月の1日から最長1年。令和8年8月以降の交付分は、最長で令和9年7月31日まで |
| 会社の健康保険組合・共済組合 | その組合に申請書を出す(提出か郵送。厚生労働省の資料に記載) | 入院前。書式・期間は組合ごとなので、発行元に聞く |
| 市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療 | 同上(市区町村、後期高齢者医療広域連合など。厚生労働省の資料に記載) | 入院前。書式・期間は発行元に聞く |
協会けんぽ「限度額適用認定証」、厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」から作成(2026年10月10日確認)。厚生労働省の資料は平成27年1月診療分からの版で、申請先と入院前に出すことの記載を使っています。金額は載せていません。
申請先は病院ではなく、保険証や資格確認書に発行元として書いてあるところです。マイナ保険証で足りる場合でも、入院前に医療機関で「オンライン資格確認はありますか」と聞いておくと、当日に慌てずに済みます。
関連ページ
この話をnoteで読む入院費、あとから戻るなら、それまでどうすればいいですか? 第14問このページの出どころ
- 厚生労働省「高額療養費制度の概要」(70歳未満の上限額・令和8年8月〜令和9年7月、入院の現物給付)
https://www.mhlw.go.jp/content/001729632.pdf(2026年10月10日確認) - 協会けんぽ「限度額適用認定証」(申請方法・時期・有効期間・マイナ保険証との関係)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/high_cost_medical_expenses/001/index.html(2026年10月10日確認) - 協会けんぽ「医療費が高額になりそうなとき(限度額適用認定証等)」(よくあるご質問。70歳以上の扱い・月の途中で出したとき)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/faq/benefit/003/index.html(2026年10月10日確認) - 協会けんぽ「医療費が高額になりそうなとき」(保険外の費用・食事代は対象外。ページに公開日の記載なし)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3020/r151/(2026年10月10日確認) - 厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(入院前に認定証を受け取る・申請先の一覧。平成27年1月診療分からの版)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000075107.pdf(2026年10月10日確認)
このページの作成日:2026年10月10日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)
このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。