その年の総所得金額等が200万円未満なら、医療費控除(1年間に払った医療費の一部を、税金を計算する前の所得から差し引ける仕組み)で引かれる基準は10万円ではなく総所得金額等の5%です(国税庁タックスアンサーNo.1120・令和8年4月1日現在法令等、2026年10月14日確認)。
総所得金額等が100万円なら5万円、150万円なら7万5,000円を超えた医療費が対象になります。数えるのは1月1日から12月31日までに実際に払った額で、控除額の上限は200万円です。
今年1月からの医療費の領収書を、1つの封筒にまとめて入れる。
『収入が下がった年は、医療費控除で差し引く額も変わりますか。』
税務署の電話相談で、最初にこの一言を言えば話が通ります。
所得別:医療費がいくらを超えたら対象になるか
| その年の総所得金額等 | 引かれる基準額 | 医療費8万円の年の控除額 | 医療費12万円の年の控除額 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 2万5,000円(5%) | 5万5,000円 | 9万5,000円 |
| 100万円 | 5万円(5%) | 3万円 | 7万円 |
| 150万円 | 7万5,000円(5%) | 5,000円 | 4万5,000円 |
| 180万円 | 9万円(5%) | 0円(基準に届かない) | 3万円 |
| 200万円以上 | 10万円 | 0円(基準に届かない) | 2万円 |
国税庁タックスアンサーNo.1120の式(払った医療費-保険金などで戻る額-基準額、上限200万円)で計算した例です。戻ってくるお金が無い場合として計算しています(2026年10月14日確認)。
基準額の出し方:所得×5%と10万円の小さいほう
基準額は、総所得金額等に5%を掛けた額と10万円とを比べて、小さいほうになります。5%がちょうど10万円になるのが総所得金額等200万円の地点なので、それより下の年は、所得が下がった分だけ基準も下がります。
総所得金額等は、給料の額面のことではありません。国税庁の用語集では、給与所得や事業所得などを合計した額(損益通算の後、繰越控除を受けている場合はその後の額)に、退職所得や山林所得なども加えたものとされています。表の左の列は、この額で見てください。
戻ってきたお金は、先に差し引く
計算の前に、保険金などで補てんされる額を医療費から引きます。No.1120が例に挙げているのは、生命保険の入院費給付金と、健康保険から出る高額療養費(1か月の窓口負担が上限を超えたときに、超えた分が戻る仕組み)・家族療養費・出産育児一時金などです。
たとえば入院で医療費を40万円払い、高額療養費で28万円、民間保険の入院給付金で5万円が戻った年は、手元に残る負担は7万円です。その年の総所得金額等が100万円なら、基準の5万円を引いて控除額は2万円になります。
補てんされた額は、その給付の対象になった医療費の分までしか引きません。入院給付金が入院費より多く出ても、余った分を通院や薬の費用から引くことはありません。
休んだ年に見落としやすい点
- 支払いが年をまたぐと、実際に払った年の医療費になります。12月の入院を1月に精算した場合は、翌年の分です。
- 生計を一にする配偶者や家族の分を、払った人がまとめて申告できます。
- どの年にどれだけ所得があったかは年が終わるまで決まりません。領収書をそろえておけば、年明けに表で当てはめられます。
関連ページ
この話をnoteで読む休職して収入が下がった年なのに、医療費控除は関係ないと思っていませんか? 第119問このページの出どころ
- 国税庁「タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm(2026年10月14日確認) - 国税庁「タックスアンサー 専門用語集」総所得金額等(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/yogo/senmon.htm#word1(2026年10月14日確認)
このページの作成日:2026年10月14日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)
このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。