市販薬の使用上の注意を国が16群と20群、計36の薬効群に分けて定めた通知のうち、少なくとも6群(かぜ薬・解熱鎮痛薬・鼻炎用内服薬・口腔咽喉薬・内服痔疾用薬・外用痔疾用薬)に「乗物又は機械類の運転操作をしないこと」の一文があります(厚生労働省 平成23年10月14日付通知、2026年10月27日確認)。
花粉症で買う薬が当てはまるかは、成分で決まります。書かれる場所は、箱の外側と中の説明書の2か所です。運転する日は、買う前に箱の外側を見て、薬剤師か登録販売者にひと言伝えると確認してもらえます。
家にある花粉症の薬の箱を出し、外側に「運転」の文字があるかを見る。あれば、その箱を撮ってスマホに残しておく。
『今日は車を運転します。運転しても大丈夫な花粉症の薬はどれか、見てもらえますか?』
ドラッグストアの売り場や相談カウンターで、薬剤師か登録販売者に声をかけて言います。
運転の一文が書かれる市販薬の種類
| 薬の種類 | 書かれる一文 | 理由の書き方 | 書かれる条件 |
|---|---|---|---|
| 鼻炎用内服薬(花粉症の飲み薬に多い区分) | 服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないこと | 副交感神経遮断剤を含まない:眠気等があらわれることがある。含む:眠気や目のかすみ,異常なまぶしさ等の症状があらわれることがある | 箱の外にも同じ一文(理由の括弧なし) |
| かぜ薬(生薬のみの製剤を除く) | 服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないこと | 眠気等があらわれることがある(目のかすみ等を伴う成分を含むときは、その症状も併記) | 抗ヒスタミン剤、コデインリン酸塩水和物、ジヒドロコデインリン酸塩、デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物のいずれかを含む製剤 |
| 解熱鎮痛薬 | 服用後,乗物又は機械類の運転操作をしないこと | 眠気等があらわれることがある | ブロモバレリル尿素かアリルイソプロピルアセチル尿素を含む製剤 |
| 口腔咽喉薬(トローチ)・内服痔疾用薬 | 使用後(服用後),乗物又は機械類の運転操作をしないこと | 眠気等があらわれることがある | 抗ヒスタミン剤を含む製剤 |
| 外用痔疾用薬(坐剤・注入軟膏) | 使用後,乗物又は機械類の運転操作をしないこと | 抗ヒスタミン剤:眠気等。ロートエキス:目のかすみ,異常なまぶしさ等 | 抗ヒスタミン剤かロートエキスを含む製剤 |
厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意について」(平成23年10月14日付、薬食安発1014第4号・薬食審査発1014第5号)の本文から抜き出した。通知はその後一部改正されている。花粉症の飲み薬が表のどの区分に入るかは、箱の薬効分類で決まる。
運転の注意が書かれる場所と、その読み方
| 場所 | 見えるとき | 書き方 |
|---|---|---|
| 箱の外側(外部の容器・被包) | 買う前 | 「注意」の欄に一文だけ。理由の括弧は付かない |
| 中の説明書の「してはいけないこと」 | 買った後 | 同じ一文のあとに、眠気などの理由が括弧で付く |
| 書かれていない薬 | 買う前・後 | 運転の一文が無い薬でも、眠気は副作用の欄に載ることがある。眠気を感じた日は運転しない |
場所の区別は上の通知による。独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)は、市販薬は「パッケージの表示を確認し、購入後は添付文書も読む」としている。
運転の決まりは、薬の影響でも対象になる
道路交通法(車や自転車を動かす人の守る決まり)の第66条は、「何人も、過労、病気、薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある状態で車両等を運転してはならない」と定めています(警察庁の資料が条文を引用しています)。その資料は、花粉症の薬やかぜ薬のような身近な薬でも、副作用で運転に影響が出れば、この規定に触れるおそれがあると述べています。
PMDAの相談窓口の案内は、運転の支障になる眠気・注意力の低下・目のかすみ・めまいが出やすい薬の例に、かぜ薬、花粉症のくすり、胃腸の痛みを和らげるくすりを挙げています。事故の事例もあるため、そうした薬を使っている間は車の運転のほか、危険を伴う機械の操作や高所作業もしないよう求めています。
売り場で誰に相談できるか
PMDAの案内では、市販薬に不安があるときは薬剤師か登録販売者に相談します。要指導医薬品と第1類医薬品は、薬剤師から注意があるはずとされています。伝えるのは「今日は運転する」という事実だけで十分です。
市販薬のレシートと税金の2点
花粉症の治療のために買った市販薬は、通常の医療費控除の対象に入ります。病気の予防や健康増進が目的のもの(ビタミン剤など)は入りません(国税庁 No.1122)。また、同じ年は、通常の医療費控除とセルフメディケーション税制のどちらか一方しか使えません。後者は対象の購入費の合計から12,000円を引き、最高88,000円です。どちらが有利かの個別の判断は、税務署などでお尋ねください(国税庁 No.1122・No.1129)。セルフメディケーション税制は、健康診査や予防接種などの「一定の取組」をその年に行った人が対象で、対象になるのは特定一般用医薬品等の購入費です(花粉症の薬が全部入るとは限りません)。一度どちらかを選ぶと、後から変更できません(国税庁 No.1129)。
関連ページ
この話をnoteで読む花粉の薬を買うとき、車を運転することをどう伝えるか 第273問このページの出どころ
- 厚生労働省「かぜ薬等の添付文書等に記載する使用上の注意について」(平成23年10月14日付)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7826&dataType=1&pageNo=1(2026年10月27日確認) - 厚生労働省 同通知(口腔咽喉薬・内服痔疾用薬の部分)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7826&dataType=1&pageNo=10(2026年10月27日確認) - 厚生労働省 同通知(鼻炎用内服薬・外用痔疾用薬の部分)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb7826&dataType=1&pageNo=7(2026年10月27日確認) - 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q2 服用(使用)中は車の運転をしてはいけないくすりがあるそうです。何故ですか?」
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0015.html(2026年10月27日確認) - 医薬品医療機器総合機構(PMDA)「Q3 くすりの使用中に車の運転をしていいかどうかはどうしたらわかりますか?」
https://www.pmda.go.jp/safety/consultation-for-patients/on-drugs/qa/0018.html(2026年10月27日確認) - 警察庁「薬の副作用と運転について」(発行日の記載なし。道路交通法第66条の条文を引用)
https://www.npa.go.jp/koutsuu/menkyo/fukusayou_unten.pdf(2026年10月27日確認) - 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm(2026年10月27日確認) - 国税庁「No.1129 特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1129.htm(2026年10月27日確認)
このページの作成日:2026年10月27日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)
このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。
同じ場面の、ほかの答え(薬・処方)