医療費控除(1年間に払った医療費の一部を、税金を計算する前の所得から差し引ける仕組み)の控除額は、(払った医療費-高額療養費などで戻る額)-10万円で、最高200万円です(国税庁No.1120、令和8年4月1日現在法令等、2026年10月15日確認)。
高額療養費(1か月の窓口負担が上限を超えたとき、超えた分が戻る健康保険の仕組み)で戻る分は、その給付の対象になった医療費の額までしか引けません。申告の時点で額が決まっていなければ、見込みの額で計算します。
高額療養費の支給を知らせる通知を1枚探し、入院した月と戻った額に印をつける。
『高額療養費で戻った分は、払った医療費から差し引いて計算しますか。』
税務署の電話相談か窓口で、最初に1回だけ聞けば足ります。
戻った分を引くと、控除額はいくらになるか
| 場面 | 払った医療費 | 戻った分 | 差し引いたあと | 控除額(基準10万円) |
|---|---|---|---|---|
| 入院のみ、高額療養費だけが戻った | 50万円 | 30万円 | 20万円 | 10万円 |
| 高額療養費のほかに、民間保険の入院給付金も出た | 50万円 | 30万円+5万円 | 15万円 | 5万円 |
| 戻った額が入院の分を超え、別に通院の医療費8万円がある | 入院50万円+通院8万円 | 55万円 | 入院分は0円、通院分は8万円のまま | 0円 |
| 窓口の払いが最初から上限額までで、あとから戻る分はない | 15万円 | 0円 | 15万円 | 5万円 |
その年の総所得金額等が200万円以上で、基準が10万円の場合の計算例です(200万円未満の人は総所得金額等の5%)。入院の分に出る給付は、その入院の医療費を限度に引き、余りは他の医療費から引かないとされています(国税庁No.1120、2026年10月15日確認)。
戻る額が、申告のときまだ決まっていないとき
国税庁のQ&Aでは、補てんされる額が確定申告書を出す時までに確定していない場合は、見込みの額で計算します。あとで確定した額が見込みと違えば、修正申告または更正の請求で直します。
質疑応答事例には、12月に払った入院費用を補う保険金が、翌年3月の申告の時点で決まっていない例があります。この場合も、受け取る額を見積もって、払った医療費から引きます。差し引く先は戻った年ではなく、医療費を払った年の計算です。
戻るまでの時間と、年のずれ
高額療養費の申請は、診療を受けた月の翌月1日から2年以内です(協会けんぽの案内)。申請はレセプト(診療報酬明細書)で確認できた自己負担をもとに月単位で行うため、払った月より後に戻ります。
令和8年8月からは、月ごとの上限に加えて、8月から翌年7月までの年間上限が設けられています。1月から12月で数える医療費控除とは、年の区切りが違います。通知が届いたら、どの診療月の分かを見て、払った年に当てはめます。
窓口の払いを上限までにする方法
マイナ保険証を使うか、あらかじめ限度額適用認定証を入手して出すと、窓口の払いは自己負担限度額までになります。窓口の払いは月ごとの上限までになります。ただし年間上限を超えた分などは、あとから保険者から還付されることがあります。通知が来たら、その分は差し引いてください。交付の手続きは、加入している健康保険(保険証に発行元として書いてあるところ)に聞きます。
関連ページ
この話をnoteで読む高額療養費で戻ってきた年なのに、払った合計をそのまま書いてよいのかが分かりません。 第111問このページの出どころ
- 国税庁「タックスアンサー No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm(2026年10月15日確認。計算式、補てんの例示と限度、最高200万円) - 国税庁「タックスアンサー No.1120 Q&A」(令和8年4月1日現在法令等)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120_qa.htm(2026年10月15日確認。Q2 補てん金が未確定の場合) - 国税庁「質疑応答事例 医療費を補填する保険金等が未確定の場合」(令和7年8月1日現在)
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/05/59.htm(2026年10月15日確認) - 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(2026年7月31日更新)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html(2026年10月15日確認。令和8年8月からの年間上限、認定証・マイナ保険証) - 全国健康保険協会「高額療養費支給申請書 書き方」
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/honbu/event/kohoshizai/17_kakikata_kougaku.pdf(2026年10月15日確認。診療月の翌月1日から2年以内、月単位の申請)
このページの作成日:2026年10月15日(制度や数字が新しくなったら、作り直します)
このページは、患者と、患者の家族の立場で、厚生労働省などが公開している資料を調べて並べたものです。本ページの内容は一般的な情報提供を目的としたもので、診断・治療方針や税務・手続きの個別の判断を示すものではありません。運営者は医師・薬剤師・税理士ではありません。制度や金額は改定されることがあります。最新の情報は公式資料でご確認のうえ、個別のご相談は医師・薬剤師、加入している健康保険の窓口、市区町村、税務署などにお願いします。
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