シリーズ6 第5回:「診察と薬局を“別々のイベント”にしない──ひとつの流れとしてつなげると何が変わるか」 「診察が終わってから家に帰るまで──“病院と薬局のあいだ”で損をしないために」#165

多くの場合、「病院で診察を受ける」「薬局で薬をもらう」「家に帰って飲み始める」は、別々の出来事として流れていきます。
そのたびに頭のスイッチが切り替わり、「診察は診察」「薬局は薬局」「家は家」と区切ってしまうので、どこかで聞きそびれたり、伝えそびれたりしたことが、そのまま抜け落ちてしまいがちです。


しかし本来この3つは、患者さんにとって一つながりの「医療体験」です。
診察室での説明を、薬局で自分の生活に落とし込み、家での最初の数日で実際の体調を確かめる──この流れがつながっているほど、治療は自分ごととして感じやすくなります。


大げさなことをしなくても、少しだけ意識を変えるだけで、この「つながり」は作ることができます。
このシリーズで見てきたポイントをまとめると、次のようになります。
• 診察が終わったあと、病院を出る前に1〜2分だけ立ち止まって、気になっていることをメモする
• 薬局では、「先生には聞きそびれたのですが…」と前置きして、生活や不安に直結することを一つだけでも聞いてみる
• 家に帰ってからの最初の数日で、「飲み方」「体調の変化」を自分の言葉で確認し、必要なら早めに薬局へ連絡する

どれも、特別な知識や準備がなければできないことではありません。
「完璧にこなす」必要もなく、まずはどれか一つだけでも試してみることで、診察と薬局と自宅が、少しずつ一本の線でつながっていきます。
• 診察室でうまく聞けなかったことを、薬局で補う。
• 薬局での不安を、次の受診のときに伝える材料にする。
こうした“行ったり来たり”ができるようになると、「よく分からないまま我慢して飲み続ける」状態から、「自分で納得しながら続ける」状態に近づいていきます。


医療や薬の制度は、どうしても複雑で、自分ひとりでは変えられない部分も多くあります。
それでも、診察と薬局のあいだでちょっとした工夫を重ねることで、「損をしない」「不安を抱え込まない」余地は確実に広がります。
これからも、そんな“小さな工夫”を一つずつ言葉にしながら、患者としてできることを一緒に考えていければと思います。