シリーズ5 第5回:「自分と親の“これから”のために──今のうちから薬局とどうつながっておくか」 「一人暮らし・高齢期と薬局のつきあい方」 #155
このシリーズでは、高齢期や一人暮らしの場面で、薬局や薬剤師さんとどう付き合っていくかを見てきました。
最終回では、「いつか困ったときのために」ではなく、「まだ元気なうちから、どんな準備をしておけると安心か」という視点で整理してみます。
まず大切なのは、「行きつけの薬局を一つ決めておく」というシンプルな一歩です。
複数の病院にかかっていても、薬局をなるべく一つにまとめておくと、薬の全体像を把握してもらいやすくなります。
「ここなら相談しやすい」「顔と名前を覚えてもらえそう」と感じる薬局を、少し意識して選んでみるだけでも、その後の安心感は変わってきます。
次に、「薬局でどこまで話していいか」のハードルを、自分の中で少し下げておくことも大切です。
体調の変化だけでなく、「薬が余りがち」「飲み忘れが多い」「家族が心配している」といった生活面の悩みも、薬剤師さんに話してよいテーマです。
一度にすべてを打ち明ける必要はありませんが、薬を受け取るたびに一言ずつでも状況を伝えていくと、「その人のことを知っている薬局」としての蓄積が少しずつ増えていきます。
親世代については、「本格的に困ってから相談する」のではなく、「まだ元気なうちに、かかりつけ薬局を一緒に決めておく」ことが、将来の備えになります。
帰省したときや電話のタイミングで、「いつも行っている薬局はどこ?」「そこで何かあったら相談できそう?」と、軽く話題にしておくだけでも違います。
可能であれば、一度一緒に薬局へ行き、薬剤師さんと顔合わせをしておくと、その後の連携も取りやすくなります。
自分自身のこれからに目を向けたときも、「将来、どんなふうに薬と付き合っていきたいか」を、少しだけ想像しておくとよいかもしれません。
「家のそばに相談しやすい薬局がほしい」「オンラインも上手に使いたい」「家族と情報を共有しておきたい」など、自分なりのイメージを持っておくと、薬局選びの基準が少しクリアになります。
薬局は、病院のあとに「立ち寄る場所」から、生活や年齢の変化に合わせて「支えてもらう場所」に変わっていける存在です。
そのためには、制度の名前を完璧に覚えるよりも、「困ったときに、一緒に考えてくれる人がいる薬局」を一つ持っておくことが何よりの備えになります。
このシリーズが、自分や家族の“これから”と薬局とのつきあい方を考える小さなきっかけになればうれしく思います。
