シリーズ0 第1回:日本の医療費と「誰かを切り捨てるのか」という問い 「日本の医療費を自分ごとで考える──“誰かを切り捨てない”ためにできること」 #101

日本の医療費の話を、今日は少しだけ身近な視点から考えてみたいと思います。「一人ひとりが少し賢くなることで何が変えられるのか」というお話です。

先日、YouTubeのPIVOTチャンネルで、杉村太蔵さんと元厚労省年金局長の香取照幸さんが社会保障について議論している番組を見ました。 その中で香取さんが、日本の医療費はGDP比でざっくり8%程度で、今後も少しずつ上がっていくと話していたのが印象的でした。 医療費が増えていく傾向は日本だけの話ではなく、世界中の先進国が「少しずつ増えることは避けられない」と認識しているそうです。

香取さんは、もしGDP比で医療費を下げようと思ったら、どこかで「誰かを切り捨てる」しかない、というかなり重い指摘もしていました。 医療へのアクセスを制限したり、給付を減らしたりしない限り、単純に比率だけを下げることは難しいという意味です。 この話を聞いて、自分の中にモヤモヤとした感情が残りました。「誰かを切り捨てる」前に、本当にやれることはもうないのか、という疑問です。
ここで自分が強く感じるのは、「誰かを切り捨てるかどうか」という議論の前に、患者一人ひとりが少しずつ賢くなって、無駄な医療費を減らしていく道があるのではないか、ということです。行政が急に大胆な改革をして、特定の人だけ不利になるようなことをするのではなく、患者側が知識を持ち、自分で選べる部分から少しずつ変えていく方法です。

その一つの例として挙げたいのが、「どの薬局に処方箋を持っていくか」という選択です。以前の記事でも触れましたが、調剤基本料1を算定している薬局では、基本料は45点=450円です。一方で、特別調剤基本料Aの薬局では5点=50円と、基本料だけでも400円の差があります。 患者負担3割として120円、残りの280円は税金や保険料からの支出が減ることになります。

私は専門家ではありません。ただの一人の患者として、「医療費が増えていくから誰かを切り捨てる」という話を聞くよりも、「一人ひとりが少し賢くなって、無駄を減らしていく」という道を信じたいと思っています。そのためにまず、「調剤基本料1と特別調剤基本料Aでは、そもそも何が違うのか?」というところから、次回もう少し具体的にお話ししたいと思います。