シリーズ3 第1回:「かかりつけ薬剤師って聞いたことあるけれど──“薬局にはあまり期待していない”という本音」 「かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局って、実際は?」 #131

「かかりつけ薬剤師」という言葉を耳にしたことがあっても、正直なところ、あまりピンと来ない方が多いのではないでしょうか。説明の紙を渡されたり、カウンターで説明を受けたりしても、「まあ、そういう制度があるんだな」と流してしまう。そんな経験があるかもしれません。
その背景には、「薬局には、ただ薬をもらいに行くだけ」という意識が根強くあるように思います。病院で診察と説明を受けたあと、薬局は“最後に寄る場所”として位置づけられがちです。そこで求めるものも、「なるべく早く薬を出してほしい」「会計をさっと済ませたい」といった、スピードと手軽さが中心になっていることが多いのではないでしょうか。
一方で、「かかりつけ薬剤師」という言葉が示しているのは、本来まったく逆の方向性です。つまり、「薬を受け取る場面だけでなく、ふだんの生活や体調の変化も含めて、継続的に相談できる相手になりましょう」という提案です。でも、多くの患者さんにとっては、薬局でそんな相談をした経験そのものがほとんどないため、「何を話していいのか分からない」「本当にそんなことをしてくれるのか半信半疑」というのが現実だと思います。
この「制度が先にあって、経験が追いついていない」というギャップこそが、かかりつけ薬剤師・かかりつけ薬局の一番のハードルかもしれません。言葉は知っていても、心のどこかで「自分には関係ない」「自分が利用する場面はなさそう」と感じてしまう。まずは、その感覚を無理に否定せず、「多くの人がそう感じている」というところからスタートしたほうが、話が前に進みやすくなります。
このシリーズでは、「制度の説明」よりも先に、「患者として何を期待してこなかったのか」「なぜ期待してこなかったのか」というところから丁寧に見ていきたいと思います。第2回では、「薬局は薬をもらうだけの場所」という思い込みが、どのようにできてしまったのかを、日常の経験からたどっていきます。